先日、スズキのお話中、記事の最後辺りでインドではCovid-19が急激に広がり多くの方が命を落としている状況について触れました。
「インドのいくつかの州では(駆虫薬の)イベルメクチンを投与する方向へ」「Covid-19の初期段階ではイベルメクチンが有効ではないか」という多くの意見があるという記事をいくつか見かけ、イベルメクチンというのは一体何だろう?と気になったので調べてみました。現在のところWHOではCovid-19の治療としては奨励されていないよう。
WHO(2021年3月31日):
WHO advises that ivermectin only be used to treat COVID-19 within clinical trials
Forbes(2021年5月12日):Indian State Will Offer Ivermectin To Entire Adult Population — Even As WHO Warns Against Its Use As Covid-19 Treatment
CNN (2021年5月13日):インドでコロナに寄生虫感染の治療薬使用か、WHOなど懸念
CNN.co.jp : インドでコロナに寄生虫感染の治療薬使用か、WHOなど懸念
2021年5月現在、Covid-19に対してイベルメクチンは有効なのか無効なのかという議論はまだ世界中でなされているようですが、下記にリンクする2021年4月28日の読売新聞の記事によると、日本の厚生省は2020年5月という早い時期にイベルメクチンのCovid-19治療への適応外使用を認めていたのですね。
読売新聞オンライン、調査研究(2021年4月28日):イベルメクチンはコロナ治療に有効か無効か 世界的論争の決着に日本は率先して取り組め
イベルメクチンはコロナ治療に有効か無効か 世界的論争の決着に日本は率先して取り組め : NEWS特集 : 記事・論考 : 調査研究 : 読売新聞オンライン
でも「厚生省は20年5月という早い時期にイベルメクチンのCovid-19治療への適応外使用を認めており……」の後に続く内容は、とても切ない現実だった。
医師主導の臨床試験の限界
現在、国内のイベルメクチン臨床試験は、北里大学が医師主導で取り組んでいるだけだ。その北里大の臨床試験も、資金不足と被験者の患者不足で、順調に進んでいるとはいえない。多くの資金と被験者を必要とする臨床試験を早急に行うことができるのは、巨額の開発費を投じた新薬を世に出そうとする大手製薬会社だけ、というのが現実で、北里大のように医師主導で臨床試験を行うのは「無謀」と言う製薬関係者もいる。
イベルメクチンはとうに特許が切れ、ジェネリック薬剤がインド、中国などで大量に製造されている。最初に開発したメルク社は、イベルメクチンをCOVID-19の治療薬として適応するための臨床試験をやる気はなく、イベルメクチンとは別のCOVID-19の新薬開発に取り組んでいる。開発中の薬剤は、4月下旬には最終的な臨床試験に取り組み、9月ごろには承認申請を行う予定と報道されている。
わざわざ新薬を開発するのは、特許権のなくなったイベルメクチンをいまさらCOVID-19の治療薬として適応を取り付けても、経済的なうまみは何もないという側面もあるのではないか。体重70キロの患者の治療に必要なイベルメクチン(日本では「ストロメクトール」)の薬価は、日本では約3500円だが、世界的な相場は数百円といわれる。メルク社にとって、イベルメクチンは、もはや利益のない薬剤なのだ。
読売新聞オンライン調査研究(2021年4月28日)
北里大の臨床実験、資金不足と被験者の患者不足……
ここでも資金不足か。
東洋経済オンライン(2021年3月12日):イベルメクチンに超期待する人が知らない真実 コロナ治療薬?「過熱報道と臨床現場の温度差
イベルメクチンに超期待する人が知らない真実 | 新型コロナ、長期戦の混沌 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
こうした東洋経済などの記事を読んでみると、イベルメクチンって日本では随分前からSNSを通して話題になっていていたものだったのですね。
日本でも多くの人が必要と感じる研究や将来的に意義のある研究には、研究者が資金やマンパワーを心配することなく研究に没頭できるシステムができたら良いのにと強く願うし、それは寄付という形だけに頼るという方法では難しいのではないかとも思う。
寄付は正直気がすすまないけれど、ファンドという形なら投資したいと思う人々はある程度存在しそうだし、資金も比較的集めやすくなるのではないかと思うのだけれど、そうは言っても、こうした方法が身近にあったら胡散臭い詐欺案件も雨後の筍の如く登場するのだろうし、なかなか簡単には行かないのかもしれませんね。
ところで、本日の話題の「イベルメクチン」
英語ではivermectin (àivəméktin) アイヴァメクティンと発音するらしい。
ivermectinから中国語を辿ってみると伊維菌素。
Covid-19に対する有効性の有無は別として、それだけ話題になるのであれば中国株界隈ではどこかしらで話題になっていたのではなかろうかと検索してみると、やはり、あった、あった。去年の今頃(2020年4月頃)だったのですね。
Yahoo台湾(2020年4月6日):【武漢肺炎】澳洲研究:高劑量抗頭蝨藥物「伊維菌素」可殺新冠病毒
【武漢肺炎】澳洲研究:高劑量抗頭蝨藥物「伊維菌素」可殺新冠病毒
オーストラリアのMonash Universityの研究発表関連の記事で話題になった模様。
An anti-parasitic drug available throughout the world has been found to kill COVID-19 in the lab within 48 hours. Professor Kylie Wagstaff from the @MonashBDI explains the new discovery. https://t.co/zEm9abgtuK #TheLatest #7NEWS pic.twitter.com/PYOSJOhDGT
— 7NEWS Brisbane (@7NewsBrisbane) 2020年4月4日
その後、このMonash Universityの研究チームは台湾の長庚大学新興病毒感染研究中心と抗ウイルス薬の共同研究へと進んでいるようです。
Taiwan Today(2020年5月8日):台豪が新型コロナ対抗への研究で合作、抗ウイルス薬の共同研究へ
https://jp.taiwantoday.tw/news.php?unit=149&post=177470
そうなると、中国株香港株界隈で気になることと言ったら
「伊維菌素、イベルメクチンに関連する株は何かしら?」という方々もいらっしゃるようで、グーグル検索では「イベルメクチン、関連株」や「イベルメクチン 製薬会社」などの検索ワードもチラホラ。
それらを受け、関連株などの解説をしているのがこれらの記事。
新浪新聞(2020年4月7日):
研究發現伊維菌素可治療新冠肺炎 相關概念股有望騰飛-財經新聞-新浪新聞中心
記事内で登場する企業は
在A股上市公司中,海正葯業(600267)伊維菌素片、伊維菌素膠囊生產車間通過GMP及FDA檢查,伊維菌素澆潑劑年產能達300萬支;普萊柯(603566)
辺りではありますが、これは一年ほど前の記事。
折角ですので2021年5月25日現在の株価の様子、それぞれの英語表記、貼っておきます。
上記2企業に加え、FUTUの記事ではもう一社、こちらの企業名にも触れていました。
FUTU(2020年4月8日):
海正药业(600267)旗下伊维菌素片和伊维菌素胶囊为公司独家品种;同时,公司伊维菌素原料药获得澳大利亚TGA-GMP认证。 瑞普生物(300119)、普莱柯(603566)旗下有伊维菌素片相关产品。
こちらも一年前の記事なので、現在の瑞普生物(300119)の様子と英語表記を貼っておきます。
日本における、資金不足や人手不足による研究や作業の中断。
うまく言葉が見つからないけど、何だか、切ない。
研究したい人は研究に集中することができて、その研究の結果新しい発見があって、世の中が明るく軽やかに回るような、そんな仕組みがあったら良いのにと思う日々。
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記事はイベルメクチンの個人使用を奨励するものではありません。
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